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憧れの旅館・ホテル

修善寺温泉、「あさば」

 

伊豆の道路の渋滞に不安があったが、すこぶる付きの快晴のため車で行くことにした。快調に東名高速を走り、沼津のインターで降り1号線に入った。案の定渋滞であった。136号線ではすぐに伊豆中央道に入り修善寺道路を走った。幸い、この道はすいており修善寺温泉まで45分程で着いた。温泉街では柱谷バイパスを抜け、反対側から「あさば」に辿り着いた。虎渓橋経由の道はきわめて狭いため、前回の修善寺行の時、タクシー運転手さんに聞いておいた道だ。

立派な玄関門をこえた所で車を降り、鍵を男衆に預け、あのセンス溢れる市松模様の大きな暖簾をくぐると空気が変わった。ひんやりとした(寒いわけではない)、清清しい空気。凛とした空気である。淀みは微塵も感じない。これだけでも、素晴らしい世界が待っている予感がする。

  

さっそく部屋に案内され、そば茶と温泉饅頭をふるまわれる。「あさば」の焼印の入った饅頭であるが、これがまことに美味い。
部屋は離れの「天鼓」。すっきりとした8畳二間の和室に内風呂である。椅子はない。庭の眺めは普通の景色である。特にこれといった特徴はない。

   

 

(応対)

フロントは女性も男性も洋服であり、仲居さんのみが和服である。皆にこやかで、よく気がつくが、決してでしゃばらない。他に類を見ない素晴らしい応対なのだが、上手い表現がみあたらないのが残念である。年配のスタッフと若いスタッフの応対に微妙な違いがある。良い悪いの問題ではない。世代の違いであろうか。

 

(大浴場)

うすい青色がかった伊豆石の洗い場と浴槽。扇型の浴槽の縁を檜で覆ってある。透明な温泉のお湯と伊豆石の色、檜のコントラストが見事である。
脱衣場は狭い。休息スペースがないのが残念。タオル類は素晴らしい、最上質の綿製品を使用しているのだろう。替えも豊富に置いてある。

露天風呂はこれまた素晴らしい。脱衣場と洗い場は申し訳程度にしかないが、湯船からの眺めは絶景である。紅葉の季節は終わっているが、今年は幸いにも、もみじの赤が残っていた。時間制で男女交替なのが残念であるが、これほどの露天風呂は二つは作れないだろう。

  

(内風呂)

檜作りで大人二人がゆったりと入れる浴槽。ガラス戸の向こうがテラスになっていて椅子が置いてある。テラスの真ん中から大きな桜の木が生えている。浴室の天井の半分がガラス張りになっていて桜の季節は湯につかりながら花見ができる趣向か。洗面所が殺風景。お湯は出しっぱなしではないので好きな時にさっと入れない。

 

 

(夕食)

懐石料理ではない。郷土料理といっても素材は地元のものとは限らないそうである。 味は素晴らしい。だし加減も好みである。選び抜かれた素材、決して手抜きをしない姿勢が感じられる。器は華美ではないが料理に見事に合致している。
ゆば蒸し・季節の盛り合せ・沢煮椀・平目、槍いか造り・真名鰹柚庵焼・根芋ごま和え・伊勢海老唐揚・鮑床大根・穴子黒米ずし・天城しゃも、たたき鍋・デザート
最後の、「天城しゃも、たたき鍋」の頃にはお腹が一杯になってきている。一品少なくても良いのではないだろうか。穴子黒米ずしの穴子は江戸前のものらしいが、脂ののりが少なく残念であった。デザートのブラマンジェは素晴らしいできであった。アイスクリームはかぼちゃ、しょうが、オレンジリキュール味の三つ。板前さんが目の前でよそってくれる。アイスクリームというよりはソルベに近いジェラート風であった。

 

(寝具)

ウレタンマットと綿の敷き布団の二枚組。極上のリネンで被われている。弾力はあまりないが、沈みこみ具合は絶妙。布団としては完璧に近いのではなかろうか。シーツの肌触りと相まって最高の寝心地を与えてくれた。掛け布団は羽毛、枕は羽毛か、そば殻の選択。

 

(朝食)

量は決して多くはないが、私にとっては丁度良い。だし巻卵、白菜の漬物、自家製のわさび漬けは旨かった。デザートの柿は絶品。果物の良し悪しは印象を大きく左右する。

 

(感想)

とにかく素晴らしい宿でした。
クラシックとモダンが絶妙にマッチしています。
居心地が本当に良い。
「このままずっと、こうしていたい」という言葉があります。
このまま、いつまでも風呂につかっていたい(大浴場も露天も)。風呂上りにサロンでシャンパンを飲みながら、池、能舞台をただ眺める。日が暮れて見床に灯明がともされ、能舞台がライトアップされ、木立の端の空の色が微妙に変化していく様を、ただボーッと眺めている。朝、布団の中で、いつまでもくるまっていたい。
こんな気持ちにしてくれる旅館でした。

  

決して贅を尽くしているとは思えません。しかし、シンプルな中にも素材にはとことんこだわっていると感じます。目に見えないところで凄まじい努力をしているのではないでしょうか。カルチャーショックを受けました。

帰り際に幸運にも他の部屋をいくつか見せてもらうことができました。少しばかり印象を述べてみます。

2003年12月下旬訪問