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憧れの旅館・ホテル

あさば 最新版

 

およそ2年ぶりの訪れである。
今まで10回に及ぶ訪れであるが、なぜか天気に恵まれ、雨に降られた記憶が無い。
今回もその例に洩れず素晴らしい天気で、富士山の眺めを堪能することができた。 富士宮あたりでは、雪を頂いた山頂と、そのなだらかな裾野の素晴らしさを余す所なく見せてくれた。

富士宮を過ぎると、愛鷹山に姿を隠していく。
しかし三島から伊豆箱根鉄道に乗り換えると、再びその勇姿を現す。手前に宝永火口を見せた独特の富士山である。

「あさば」・「柳生の庄」・「鬼の栖」、何回乗ったか覚えきれない伊豆箱根鉄道であるが、修善寺の駅で富士山を見たのは初めてである。

 

いつものように修善寺の駅でタクシーに乗って、「あさば」へ向かう。
今回は、リニューアルされた「撫子」の間である。
以前の「撫子」に泊まったことがあるが、その「撫子」と「秋海棠」を合体して新しい部屋にしたのである。 どのような部屋になったのか、興味津々であった。

 

いつものように部屋に案内されると、お茶と「あさば饅頭」が出る。
いつもながら美味しい饅頭である。

 

部屋の入り口を入ると、左手に和室。
以前の「撫子」の趣をそのまま残している。

二面採光の、とても開放的な部屋である。

 

広縁は、あさば独特の一段下がった造りである。
床柱も遊びがあって、とても面白い。

テレビも上手く収納されてある。

 

窓からの眺めは、基本的には裏山の竹林である。

左手には池を臨み、その向こうに木立の陰から能舞台を見ることができる。
右手には、離れ「天鼓」の庭を見ることができる。

夜には、ライトアップされた能舞台を僅かに見ることができる。
手前の明かりに照らされた木は、枝垂桜である。
以前、この場所には染井吉野の老木があったそうであるが、数年前の台風で駄目になったと聞いている。
その後、枝垂桜を植えたのであるが、数年後が楽しみである。
1階の「藤」、2階の 「山吹」の名物になるかもしれない。

 

入り口から右手には、ベッドルームがある。
「秋海棠」のほうは、かなり手を入れたとのこと。セミダブルサイズのツインベッドルームである。

かつての広縁には籐の椅子が一つだけ置かれてあり、テレビを見るのも良し、窓からの眺めを楽しむのも良しといった場所であった。
屋根のある建物は、離れ「天鼓」である。
灰皿が置いてあったが、もちろん使うことはない。

 

(部屋風呂)

木の香も新しい、清潔感溢れた浴室であった。浴槽は大人二人、充分入ることができる大きさである。
お湯も温泉。浮いているのは柚子である。
窓の向こうは道路、その向こうが民家のため、曇りガラスで目隠しされていた。

洗面脱衣所は、他の部屋と同じように極めてシンプルな造りである。
上質なタオルが豊富に置かれてあった。

アメニティも以前より充実していた。
2枚の浴衣、パジャマ、バスローブも用意されてあった。

トイレもそのまま2か所ある。

「撫子」の洗面所がそのまま残っていたが、今回は使うことがなかった。

 

(大浴場)

以前は男女の入り口がすぐ隣り合わせであったが、男性用の入り口が離れた場所に移さされていた。
浴室は湯気がもうもうとしていたため、観賞に耐えうる写真にならなかった。

これらは貸切風呂である。
残念ながら、今まで使用したことがない。

大好きな野天風呂を楽しんでいたが能舞台に灯りが点いたのを見て、後ろ髪を引かれる思いで野天風呂を後にした。

 

今回の最大の目的は、サロンからの夕暮れを楽しむことである。

 

いつものように風呂上りのシャンパンを飲みながらの至福の時間である。

 

次第に空が漆黒になっていく。 星も綺麗に見えてきた。

 

以前は食事に使われていた小部屋が新しいサロンに改装されていた。
しかし残念ながら、従前のサロンほど眺めは良くない。

 

 

(夕食)

本来なら海老は唐揚なのだが、腹が膨らみ過ぎるということで差し替えることになっている。今回は酒蒸しにしてくれた。

雛祭りにあやかった白酒である。 とても飲みやすく美味しい酒であった。

食中酒は「鄙願」。最近はあちこちで飲めるようになってきたようだ。

ある雑誌の覆面宿泊記で、「東京にはあさばより美味しい店がたくさんある」とあった。そして「東京でもっとも美味しいと編集部で意見が一致している日本料理の店」を訪ねた。その店の訪問記は一昨年の末に載せてある。
私どもの個人的な好みで言えば、その店より今回の料理のほうが美味しいと思う。
今回の献立、すべての料理が美味しかった。どれひとつ不満を感じる品はなかった。強いて言えば、穴子黒米ずしに飽きたということくらいか。
これほど「しみじみとした美味しさ」を与えてくれる宿を知らない。

 

(寝具)

あさばの寝具は日本一かもしれない。
その寝具を敢えてベッドにしたのであるから、よほど自信があるベッドを選んだに違いないと予想していた。
選ばれたベッドは「シモンズ」であった。
シモンズは私どもにとってもお気に入りである。あの微妙な硬さと絶妙な沈み込み感は他の追従を許さないと思っている。
今回残念であったことは、リネン類が良くなかったことである。シーツが少しごわごわしていた。
このため、幸せ一杯の寝心地には届かなかった。
ワッフル地のパジャマが用意されていたが、とても着心地が良かった。

 

(朝食)

ここの朝食はとても優しい。

スタッフが掘ってきた自生した自然薯とのことであった。出汁加減も最高。

見ただけで美味しいに違いないと思ったが、実際も脂がのっており本当に美味しかった。
これほどの干物は初めてである。

黒豆のおしるこ。黒豆の香りが素晴らしかった。

食後のコーヒーはサロンで。

 

(応対)

なにかと批判の多い接客であるが、私は今まで電話の応対以外、嫌な思いをした覚えがない。 今回も、フロントのスタッフ、部屋係の女性、擦れ違うスタッフ、皆素晴らしかった。
見方を変えれば、一見の客と常連になった客との違いなのかもしれないが。
なにはともあれ、最初の時から居心地の良い宿である。

 

(感想)

あさばの特徴は「清潔感」と「美意識」だと思う。
しつらえも美意識に溢れている。 この感性は俵屋に共通していると思う。
食事と同じようにあくまでも個人的な好みであるが、総合的にみれば「俵屋」と「あさば」、今まで経験した中では最高の宿だと思っている。

 

2009年2月中旬訪問