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憧れの旅館・ホテル

強羅花壇

 

どしゃぶりの雨の中、タクシーは曲がりくねる山道を荒い運転で飛ばしていく。 少し車酔いを感じた頃、線路の向こうに強羅花壇の建物が見えてきた。 線路を渡るともう敷地内であった。
雨のため、正面玄関でなく懐石花壇の入口から案内された。

  

チェックインタイム前の入館であったので、しばらくの間サロンで時間をつぶす。
とても洒落たサロンである。

  

フロントからサロンまで、有名な長いガラス張りの柱廊で結ばれている。
翌日、雨が上がり日が射してくると、ガラス戸が開け放たれて素晴らしい開放感を味わうことができた。

  

サロンの眼下には良く手入れされた庭園が見渡せた。
木々も少し色づき始めたようだ。


お煎茶のサービスを受け、そうこうしているうちに、部屋係の女性が現れ部屋まで案内してくれた。部屋で改めてお茶とお菓子をふるまわれる。
荷物はすでに運び込まれていた。

部屋は三階の「すずかけ」、八角露天風呂付きの部屋である。
玄関(ここで靴を脱ぐ)と10畳の和室、広めの板の間、テラスには八角露天風呂、そこに籐のデッキチェアが二つ置いてある。
和室の床の間がとても小さいため狭く感じた。板の間には籐の椅子と二人掛けの長椅子があったが、座り心地の悪い代物であった。
滞在中、荷物置きと化していた。

  

  


玄関脇にはトイレと洗面所、部屋内風呂は無くシャワールームである。
シャワールームはほとんど使われないのであろう、壁は剥がれ哀れな様を呈していた。

  


 

(応対)

非常に丁寧であるし、品が良い。すれ違うスタッフの立ち振る舞いも見事である。
アットホームとは言い難いが、冷たい応対ではない。 恭しい応接とでもいおうか、奉られている気分になる。スタッフの数も多く、まさに至れり尽くせりである。
長逗留すると、胸が反っくり返って後ろに倒れてしまうのではないだろうか。(笑)

 

(大浴場)

石造りの、これといった特徴のないものであるが、お湯はなかなか気持ちが良い。 タオル類は上質なものが豊富に置いてある。

  

 

(露天風呂)

岩造りで、お湯が滝のように岩の上の方から流れ落ちてくる様はなかなか風情がある。

しかし初日は本降りの雨で唐傘さしての入浴となり、のんびりと楽しむことはできなかった。
木立のすぐ向こうを電車が走っていた。まさに目の前を走っているような感じであった。 夜中に、男女の浴場が交代となる。

 

(夕食)

典型的な会席料理である。

  





  

  

それなりに美味しかったが、感動を覚えるほどではなかった。
いまひとつ訴えかけてくるものがなく、料理が美味しいと評判の宿には及ばないと感じた。

 

(部屋風呂)

売り物の八角露天風呂であるが、思ったより小振りであった。
お湯は大浴場と違い無臭であり、木の香りも無かった。眺めも良くない。

  

今流行のカップル御用達部屋付き露天風呂と解釈したほうが良いかもしれない。
なかなか上質のバスローブが置いてある。

 

(寝具)

厚めのウレタン系マットの二枚敷き。

やや沈み込む感じがあったが、なかなかの寝心地であった。
水盧の寝具の寝心地に似ている。極上リネンの肌触りは素晴らしく、めったにお目にかかることの出来ない幸福感を味わえた。
枕元に新しい浴衣が置いてあった。

 

(朝食)

最初にフレッシュオレンジジュースと梅昆布茶がでた。
ジュースの肌理はとても細かく実に美味しかった。
俵屋のフレッシュオレンジジュースに匹敵する味だと思う。

 

朝食も旨かった。


味噌汁がいまいちであったが、これが良ければ私の中で最高の朝食のひとつだ。なかでも、鯖の味醂漬一夜干し(詳細を聞き漏らしたので私の推測)を、わさび漬で食べるのは絶品だった。

 

 

(感想)

ホテルと旅館を極めて高いレベルで融合させたような雰囲気です。 時代の最先端を走っているのでしょうか、「私どもは強羅花壇です」 とでもいうような、宿の自負を充分感じました。田舎住まいの私にとっては、いかにも「東京風」 と思える雰囲気です。
ここは宿泊料の高さでも有名ですが、その高さに見合った宿か、考えさせられます。
料理は値段にはふさわしくないと思います。部屋もやはりふさわしくない、お風呂もしかりです。

宿泊料を充分ペイできるもの、それは「人」ではないか、そう感じました。
パブリックスペースのスタッフはホテル風です。皆、接客のプロと充分思える素晴らしい応対でした。なまじっかな一流ホテルよりは、ずっと洗練されています。
部屋係は旅館風です。すれ違う女性達は皆、質感が極めて高い(人様に対して失礼な言い方かもしれませんが)。この質感の高さは、(私の少ない経験からですが)京都の俵屋と双璧をなしていると思いました。

値段をわざと高くしてブランド価値を高めることから始まっていったと思いますが、これが上手くいって客層にも影響を与え、そして、その客達がスタッフを鍛えていった。
こんな考えも浮かびました。

しかし一方で、「和」と「洋」を見事に融合させた宿だと思いますが、「洋」の充実度に比べ「和」の感性に少し物足りなさを覚えました。
部屋の床の間、取って付けたような狭い小さなものでした。ただ掛け軸を掛ける、花を生けるだけの場所であるかのように。

浴衣の扱いも酷いものでした。襟から立褄にかけてのプレスがめちゃくちゃ、いかに寝巻といえ和装でここが乱れていては、いかんともしようがありません。替えの浴衣も同じ様に酷いプレスでした。
着丈も非常に短く甚平さんの様でしたが(暑がり屋の私としては却って嬉しいところもあるのですが)、すれ違うスタッフ達は皆、知らぬ顔。
少し短めの浴衣にすぐ気が付き、直ちに着替えを持ってきた「あさば」のフロントスタッフとは目の付け所が違うのでしょう。

帰り際、天候も回復したのでケーブルカーやロープウェイに乗って芦ノ湖方面に出ようと思い(箱根は中学校の修学旅行以来なのです)ティーラウンジやフロントのスタッフにいろいろ聞いたところ、何人ものスタッフが皆、誠に親切にアドバイスしてくれました。こういうところはすごい。
そして、強羅の駅まで歩いても数分なのですが、ベンツで恭しく送ってくれました。
ただ、観光客で賑わう駅前で車から降りて、荷物を渡され最敬礼されたのには・・・ (^^;

芦ノ湖畔は、紅葉が始まったばかりでした。


2004年10月末訪問

強羅花壇の予約の際の参考に