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憧れの旅館・ホテル
グランヴィア京都
ホテルグランヴィア京都はJR京都駅の上にある。
アクセスの極めて良いホテルなのであるが、その一方、列車待ちの客などでラウンジが非常に混みあっている。とてもざわざわしたフロントロビーである。
チェックインを済ますと、フロントマンが「部屋までの案内がいるか」と聞いてきた。これは「できれば、案内無しにして欲しい」ということだなと解釈し「いらない」と答えた。いつも必要性を感じていないので、とりたて不満も無かった。
部屋のキーカードを受け取りエレベーターに乗って部屋に向かった。
エレベーターを降りると、南の棟へ向かうトンネル通路が目についたが目指す部屋はそれとは反対方向であった。
部屋は 15 階のデラックスダブル。
残念ながら、このクラスの部屋には禁煙ルームが無いのである。掃除の時に脱臭をはかるということだった。前年は、このことでキャンセルしたのだが、今回はどのくらいの臭さか試してみようと、敢えて予約した。
やはり煙草臭かった。煙草の臭いは一旦付着すると、掃除くらいでは落ちない。この点で、このホテルは時代遅れといえよう。
部屋の広さは 34 u。広くも狭くもなく、まずまずといったところ。
立派な一人用ソファとガラステーブルの三点セット。大型のテレビやDVDデッキ?があったが、薄型ではない。
部屋の隅にミニバーがあるが、コーヒーは有料であった。
水周りは、人造大理石のトップのシングルシンク。腰の高さの衝立の向こうにシャワートイレ。曇りガラスで仕切られた洗い場付き浴室からなる。アメニティグッズは高級品とは思えないが種類は豊富であった。浴槽はまずまずの大きさ。
洗い場・浴槽一体型の浴室は、日本人として落ち着く造りではないだろうか。
トイレに関しては脱臭装置が付いているとはいえ、仕切りで個室仕様にしてくれれば文句無しなのだが。
窓からの眺めは素晴らしい。京都市街が一望のもとに見晴らせる。
しかし京都という街の特色からか、夜景はそれほどではなかった。
(寝具)
寝心地はとても良かった。シモンズのマット。あの微妙な柔らかさと沈み込み感は好みである。
リネンの肌触りは普通。寝巻きは浴衣が用意されてあった。
( 朝食 )
朝食のできる洋食レストランは 15 階のブフェレストラン「グレイスガーデン」があるが、ブフェスタイルは好みでない。ロビー階のカフェレストラン「ル・タン」に行った。
今回は、ア・ラ・カルトで、フレッシュオレンジジュース、チーズ入りオムレツ、例によってフレンチトーストを注文した。
オレンジジュースは酸味が強かった。オムレツの味は普通。フレンチトーストはメイプルシロップとシナモンバターが付いていたが、味はこれも普通であった。
相方が注文した、健康食菜「京の朝」 ( 美容 ) 。 品数が多く味もなかなかとのこと、コストパフォーマンスは優れていると思う。 しかし、カテキン緑茶ジュースは鼻をつまんで飲んでいた。
デラックスタイプ以上の部屋は、 15 階のグランビアラウンジが使える。
チェックアウトも慌しい2階を避け、ここでできる。
コーヒーも無料であった。朝食時のコーヒーよりずっと美味しかった。
荷物を預け、紅葉狩りに向かった。(荷物の受け取りは2階のクローク)
京大和
夕食は高台寺にある料亭「京大和」である。
タクシーは高台寺のライトアップを見ようとする観光客の混雑でなかなか前に進まない。
坂の途中で降ろされて少しばかり歩いた。予想外の渋滞で予約時間を少しばかり過ぎていた。
いかにも歴史を感じる表門には数人の男衆が待ち構えていた。名前を告げると、そのなかの一人が中へ案内してくれた。
門をくぐってからも玄関まで砂利道の階段を登っていく。
部屋は紅葉(もみじ)であった。
やや低めの椅子席である。足元はホットカーペットであり、とても気持ちが良い。
窓の外はモミジがライトアップされていた。
ガラス戸のガラスは波打っていた。柊家の部屋のガラスと同じである。文化財的建物なのであろう。
酒はオリジナル「京大和」。やや辛口ながらさっぱりとし味であった。
先付を食べ終わったあたりでとんでもないハプニングが起こった。
停電である。京大和周辺の一画数軒が停電したとのことであった。
最初は非常灯と蝋燭の明かりであったが、そのうちに非常灯も切れてしまい蝋燭の明かりだけの食事となった。
料亭の男衆や仲居さんが「前代未聞、初めての経験で」と平謝り恐縮していたが、これはこれで楽しかった。
蝋燭の明かりだけの夕食、どこか面白いではないか、そう経験できる事ではない。ただ暖房が切れたのは少しばかり寒かったが。
御飯の頃になって電気が復旧した。
先付: 南京の冬至和え
碗森: 蟹真蒸
造り: 伊勢海老・鯛・赤貝
蒸物: すっぽんの玉〆
八寸: もろこの甘露煮・いちょう形厚焼・鯛・くわい・数の子の蕪寿司
焼物: 鰤西京焼・青味大根唐墨まぶし・白髪葱
焚合: 聖護院大根・鶉つくね・三つ葉・柚子
御飯: 牡蠣御飯出汁茶漬け・香の物
果物: 三宝柑ゼリー
菓子: 小豆餡
やや濃い目の味付けであったが、とても美味しかった。
蟹真蒸の蟹はとても甘く、出汁もまったりしていて絶品。伊勢海老も甘く、赤貝も包丁が入れてありとても美味しかった。指月で出た赤貝より数段美味しかった。すっぽんも、これぞすっぽんという、しっかりした味がした。特筆すべきは鰤と白髪葱の相性。これほど美味しい鰤の焼物は初めてである。焚合の出汁もまずまずの味。牡蠣御飯も生臭さは微塵も感じず、浅葱を入れて食べたらお代わりをしたいくらいであった。
京料理、味の濃さにもいろいろあるものだ。
帰り際、玄関から中庭を通しての 「八坂の五重塔」 の夜景は見事であった。
男衆に見送られて門を後にした。
京都紅葉
今年は「散り紅葉」を楽しみたいと 12 月初めに予定したが、温暖化の影響で少しばかり早すぎた。
「真如堂」
昨年は本堂裏のモミジがまだ青々としていたが、紅葉すればさぞ見事だろうと思った。今年はチャンスと、京大和の夕食前に駆けつけた。赤の色は駄目であったが、とても風情ある眺めであった。ここは本堂裏が一番だと思う。
「常寂光寺」
仁王門の眺めが素晴らしい。落葉も適当に見られ紅葉も残っており、それこそ見頃であった。
「祇王寺」
今回の最大の目的。「散り紅葉と枯れ木の中の庵」を期待したのであるが、樹木にはまだ葉が残り、庵の眺めを邪魔していた。
それでも実際に見る散り紅葉の絨毯と庵の眺めは素晴らしいものであった。なんと風情ある眺めであろうか。
2007年12月初旬訪問