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憧れの旅館・ホテル

旅亭「半水盧」

 

長崎空港から車で二時間弱、雲仙登山道の七曲がりを抜けたあたりに旅亭「半水盧」がある。レンタカーが長屋門の前に停まると音もなく門が開いた。そのまま坂をゆっくり下ると本館正面に着く。フロントの男性と和服姿の若い女性が迎えに出ていた。車のキーを預けフロントでチェックイン。和服姿の女性の案内で木立に囲まれた石畳の小径を離れに向かう。広々とした緑の中にポツン、ポツンと点在していた。

  

 

離れは二階建て、玄関を入るとそこは二階部分であった。二階は、和室が二部屋。居室と寝室になっている。その他、内風呂とトイレ。眺望は木立が見えるのみであまり良くない。

  


階段を下りると一階部分。和室が二部屋とトイレ、食事をする場所である。坂を利用して作られた離れ、その谷側に一階部分の庭がひろがっている。座敷からの庭の眺めが素晴らしい。小さな池がありその中に、滝が作られている。静寂の中に、滝の音、ひぐらし、つくつくほうし、アブラゼミなどの蝉の声がなんともいえない雰囲気を醸し出している。夫婦二人には広すぎるくらいの贅沢さであった。

  

一階から別の出入り口があり、渡り廊下に出ることができる。なんと半地下の渡り廊下がすべての建物を結んでいたのである。ここを通って大浴場へ行く。

  

 

(応対)

部屋係はうら若い女性であった。物腰は固くマニュアルを精一杯こなしている感じも伺えたが、一生懸命頑張っている姿は好感が持てた。誰しも初心者の頃はあるものだ。和服姿がとても似合っており経験をつめば良い仲居さんになるだろう。私個人としては、若い女性の方がテンポが合う。仕事上若い女性達に囲まれているせいもあるかもしれない。仲居という職業、朝早くから、また夜遅く変則的な勤務である。家庭に問題は生じないだろうか。そんなことを考えると結婚前の若い女性のほうが余計な心配をせずに済む。

 

(風呂)

大浴場は東西にある。私が訪れた日は客が少なかったようで西のみの使用であった。露天風呂は小振りである。4室に二カ所の大浴場、不必要に大きくすることはないが露天風呂に開放感がないのは残念であった。バスタオルは薄っぺらで高級感に乏しかったが、却って、心おきなく何枚も使え、むしろ合理的なのかもしれない。

内風呂は檜作り、温泉でなく沸かし湯とのこと。滞在中、お湯を流しっぱなしにできないところは残念であった。

  

 

(料理)

 

典型的な会席料理。「だし」加減が素晴らしかった。
私は「八寸」に料理の熱意を感じるがここの「八寸」は大変満足のいくものであった。リキが入っている。
「果物」も、その種類としては最高のものを使っている。上品な甘さが素晴らしい。
「 刺身」は平均的。やはりネタがものをいう世界か。
隣の川で獲れたという鮎の塩焼きは、小振りではあったが、やわらかさといい香りといい申し分なく頭もしっぽも美味しかった。
酒「半水盧大吟醸」は少し塩辛く感じ、あとくちに不満が残った。
料理長の名前がI氏でなくS氏となっていたのが少し気掛かり。

夕食の時間中、部屋のスピーカーから音量を抑えた琴の音が流れ、庭の、ひぐらしを中心とする蝉時雨と滝の音が絶妙のハーモニーを奏でていた。至福の時間であった。妻も素晴らしい庭を見ながら食べたいと、座る位置を変えたほどだった。二階で布団を敷く音は聞こえなかった。

朝食の味噌汁の味は絶品であった。温泉卵のだし汁も最高。とにかくここの「だし味」は感激だった。デザートのアスパラのプディングも素晴らしい。キャラメルのほのかな苦さと甘さの調和は絶品。
朝食時、二階の襖の開け閉めの音が気になった。布団の片づけであろう。客の眼のないところでの振る舞いにもっと心配りが必要かもしれない。

 

(寝具)

マットレスと綿の敷布団の二枚重ね。「ふかふか」ではある、しかし腰が沈み込む感じが不満ウレタン系マットレスの宿命。腰痛症の持病のある客にとっては却って辛いかもしれない。敢えて「ふかふか」にしない名旅館もあるが、こんなところに意図があるのだろうか。

しかし高級ホテルのベッドには敵わない。今後、旅館の寝具の問題点として論議されていくことだろう。ベッドがトレンドになりつつあるのも頷ける。

忙しい日常から離れ、非日常の空間を願うものにとって最高の旅館ではなかろうか。
夢のような一夜であった。違う季節にまた行きたいものだ。

2003年7月末訪問

半水盧の予約の際の参考に