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憧れの旅館・ホテル

柊家旅館

 

麩屋町通、京都御三家の「炭屋」・「柊家」・「俵屋」が立ち並ぶ小路であるが、なかでも「柊家」と「俵屋」は向かい合わせに存在する。

  

素晴らしい玄関で靴を脱ぐと、すぐさま部屋に案内された。

  

  

 

そこで、お薄とお菓子を振る舞われる。お菓子は「朧月」といい、とても美味しかった。
部屋は14号室、フロントやロビーのすぐ側であり、川端康成がこよなく愛した部屋だそうである。
部屋の入口の戸を開けると、すぐ6畳の控えの間があり、その奥に10畳の主和室がある。主和室の周り二面に縁側があり、その向こうは庭となっている。文字通りの角部屋である。

  

 

建物は相当古く、廊下はギシギシときしむし、廊下のガラス戸や障子も年代物である。ガラス戸のガラスは昔のままのもので、向こうが歪んで見えた。割れたらもう入手することのできない代物である。
廊下には三点セットも置いてある。
控えの和室の横には、1畳ほどの化粧部屋もあった。

  




主和室の片隅には大型の液晶テレビが置いてあるが、和風の覆いが掛けてあり違和感はない。 テーブル、座布団、あらゆるものに柊の葉の紋様が描かれていた。
面白いのは、トイレが和洋それぞれあったこと、しかしどちらも、とても綺麗な造りであった

    

 

(応対)


男性スタッフの多さが目に付いた。大半が背広を着ており、男衆というよりもフロントスタッフという雰囲気であった。 服装から受ける雰囲気が硬いのであるが、応対は皆とても親切であり、かつフレンドリーであった。
一方、部屋係の女性達は殆どが中年以上であったが、ややドタバタした感が拭えなかった


(部屋風呂)

槙の風呂である。小振りであるが、とても清潔感あふれ気持ちがよい。壁はなんと柊の紋様の入った漆塗りであった。ただ換気が不十分で湯気が籠もるのは残念であった。
備え付けの、タオルの数が少ない。夜、朝の二セット分、欲しいものだ。
洗面スペースが狭いことは仕方がないか。

    

 

(家族風呂)

 

家族風呂にはめったに入らないのであるが、ここ柊家の家族風呂は素晴らしいと聞いていたので、真っ先に利用した。
成る程、噂に違わず素晴らしい。
二〜三人がゆったり入れ、清潔感溢れる槙の浴槽、広々とした洗い場、それからなんといっても壁に埋め込まれたステンドグラスが見事である。一方はステンドグラスの「大原女」、対面は陶器製の「熱帯魚」。
槙の香り、湧かした井戸水の肌触り、出るのが本当に惜しい、見事な家族風呂であった。それを管理している、とても親切な湯番のおじさんには、感謝感謝。

 

  

          

 

(夕食)

 

これぞ京料理とでもいおうか、本当に美味しい料理であった。
上品な味付け、切れ味ある鰹出しのやや勝った絶妙な出し味、マジ旨かった。皿や椀に残った煮汁や出し汁、全部飲み干してしまった。
「こくのなかに、きれ」を感ずる半水盧、「きれのなかに、こく」を感ずる海石榴、それらの中間の出し加減であろうか。
「お献立」をみたとき、品数の多さに少しばかりびびったが、奥方ともども完食できてしまった。
味の濃いもの、薄いもの、口当たりのコンビネーションも抜群であった。
今までのなかでは、半水盧と並び、最高の夕食だと思う。

お献立

 

 

  

 

 

  

 

 

  

  

  

 

  

 

 

 

(寝具)

 

厚めのウレタン系マットと綿敷布団の二枚組で、寝心地は、まずまずといったところか。 リネン類の肌触りは、いまいち。
浴衣は、柊柄のものが二枚用意されていた。

廊下のカーテンを枕元から電動で開閉できるが、その装置がまさに歴史を感じる代物であった。

  

 

 

(朝食)

 

夕食の素晴らしさに比較すると、やや物足りないが、それでも、お代わりをしてしまうくらい美味しい朝食であった。
なかでも御飯にかける、「鮭の、ほぐし」と、「牛肉の、そぼろ」は絶品。
最初にフレッシュオレンジジュースが出たが、それほどの味ではなかった。俵屋のそれには遠く及ばない。

  

 

 

《感想》

京都を代表する二軒の名旅館「柊家さん・・・柊」と「俵屋さん・・・俵」、大きな違いがありました。

〈部屋と庭〉
「俵」は古い部屋(庭)にどんどん手を入れてきましたが、そこには古きを残しながらも現代的な感覚が溢れています。視覚的に計算され尽くした、芸術品と言っても良いしつらえです。

「柊」は昔のままの佇まいを残しています。子供の頃「おばあちゃんの家でみた風景」にそっくりです。本当に懐かしい思いがしました。

〈風呂・トイレ〉
「俵」の槙の部屋風呂は有名ですが、「柊」の風呂はもっと力を入れているなと感じます。 トイレも「柊」の方が気持ちがよい。

〈寝具〉
これは「俵」が文句なしです。「あさば」と並んで他の追従を許さないでしょう。

〈食事〉
「柊」が自信を持ってお勧めできるもの、といって差し支えないのではないでしょうか。

〈応対〉
「俵」の、ただすれ違うだけでも感じる格調の高さ、比類なきものです。

〈総合〉
「俵」の方が、五感すべてにわたって満足させようという気概を感じます。

「俵屋さん」の部屋に泊まって、「柊家さん」の家族風呂に入って食事をする。
これで、「天下無敵」ではないでしょうか。

「柊家さん」、部屋の半分を潰して改築に突入しました。完成は一年近く先だそうですが、どのような造りになるのでしょうか、興味津々です。

 

翌日、「柊家さん」に荷物を預けたまま、地下鉄に乗って南禅寺に紅葉を見に行くことにしました。
玄関先で女将はじめ数人のスタッフが見送ってくれましたが、しばらく歩いて振り返ると、まだ見送っていてくれました。お辞儀をしたら、むこうもお辞儀を返してくれました。
これは「俵屋さん」でも同じですね。


南禅寺の三門の上から見た紅葉は、五分〜七分といったところでした。
見頃は来週末かな。

  

 

 

2004年11月中旬訪問

柊家の予約の際の参考に