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憧れの旅館・ホテル

蓬莱再訪

 

前回の訪れで女将から 「次は是非、離れに」 と勧められた。
海の眺望を良くするため木を切り、水回りを新しくしたそうである。

 

 

 

予約時、電話でそのことを話すと、相手の男衆は 「小鍛冶」 を勧めてくれた。 部屋は小振りであるが見晴らしは一番良いとのことであった。
伊豆山の山腹に建つ蓬莱の問題は(同時に良さの原点でもあるのだが)高低差が著しいことである。

 

フロント・ロビーから長い長い階段を降りていく。
途中一服できる赤い長椅子を横目に見て、さらに下ると「古々比の滝」の入口を過ぎる。もう少し下ると楠の大木(御神木)の所へ出る。
ここが「離れ」への分岐部である。

  

 

  

 

そこで U ターンしてさらに下ると、やっと 「離れ」 の玄関をつなぐ廊下に出る。なかなかの雰囲気を持った廊下である。

  

 

一方御神木の所から、つっかけに履き替えて外へでると「走り湯」への通路である。
そこから「離れ」を見ることができた。
右下に見えるのは走り湯の屋根である。

  

  

 

「小鍛冶」は一番奥にある。

 

玄関を入ると左手に 水回りスペース、右手は居室スペースである。
主和室は6畳、落ち着いた感じの床の間がある。この時期、掘り炬燵が用意されていた。

  

 

その奥に4畳半の茶室風の小部屋、躙り口もあった。残念ながら、炉は切っていないそうである。
成る程こじんまりした離れであるが、夫婦二人なら狭すぎることはない。床柱や天井に味わいが感じられ、雰囲気の良い部屋であった。

  



眺望は素晴らしい。当日は生憎の曇天で海の色が灰色であったが、両方の部屋から木立を通して海を眺めることができる。下方には波打ち際で砕け散白波を見ることもできた。

  

波の打ち寄せる音はかなり大きく、不慣れな客にはうるさいくらいかもしれない。
少年期、この音を子守歌替わりに聴き、ポンポン船の音を目覚ましがわりにしていた我が身にとっては、とても懐かしい音であった。

 

(部屋風呂)

檜造りのとても清潔な浴室と浴槽である。洗面台は大理石造りで新しい。浴室の窓からも海を見ることができる。

  

  

 

(走り湯)

前回の訪れの時と違い、浴室の床板が新しくなっていた。張り替えたそうである。
浴槽の中は伊豆石と思われるが、新しい床木の色がとても清々しく、ますます素晴らしい「走り湯」となっていた。
「古々比の滝」、「走り湯」とも、甲乙つけがたい素晴らしい大浴場である。
しいていえば、真冬にはもう少し湯の温度を高くして欲しいものだ。洗い場が寒い。

 

 

 

(夕食)

ここは、「お品書き」がない。

献立

あまった御飯でおにぎりを作ってくれるのだが、相変わらず、めちゃくちゃ旨い。

  

  

  

  

  

  

 

(寝具)

ウレタン系マットと綿の敷布団の二枚組。
さほどの厚みはないが、やや柔らかめである。

ここのシーツの肌触りは素晴らしい。自宅使いと異なり連日のクリーニングに耐えなければならないため極上の感触を持つ細番手超長綿のシーツを使うことはできないだろうが、旅館としては最上質の製品を使っていると思われる。
素肌に肌触りの良いシーツは、幸せを感ずる。

 

(朝食)

極普通の朝食であるが、本当に美味しいのである。 おかわりを何杯もしたくなるような朝食である。

  

 

(感想)

前回の「右近」の部屋はあちこちに古さを感じましたが、今回の離れ「小鍛冶」、古さをまったく感じませんでした。歴史を感じますが手直しされているのでしょう、とても素晴らしい部屋でした。堀炬燵に入って海を眺め、すぐ目の前の林には猛禽類のつがいをみることができ、俗世の煩わしさを忘れるひとときを味わうことができました。 こういった思いを持つのは、年齢なのでしょうか。
料理は相変わらず美味しい。驚くような食材、驚くような演出はありませんが、絶妙な味付けは「食べる幸せ」を充分感じるものでした。
御飯についても、お米自体は特に美味しいというほどではないのですが、とにかく炊き方が素晴らしい。こんなに美味しく炊き上がった御飯は他ではお目にかかれません。
女将も雰囲気があって素晴らしい方です。お話しするだけで、名旅館へ来たという思いにさせてくれます。
「柊家」の大女将と「蓬莱」の女将、「名旅館の女将とはこういうものだ」と、つくづく感じ入りました。
前回、老朽化したものには手直しが必要と思いましたが、確実に進歩しています。
「蓬莱」、い〜い旅館でした。

2005年3月初旬訪問