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憧れの旅館・ホテル

御宿 The Earth

 

鳥羽市内からパールロードまでの道は曲がりくねっていた。その上アップダウンもあり車酔いをしそうな道路であった。
パールロードに入って道は格段に良くなった。少し走ると宿の案内看板が見えた。
そして脇道に進む。

 

対向車が来ると、すれ違うのも困難な狭い道である。

 

宿への私道の入り口。
一瞬、整備された道路かと淡い期待を持ったが、見事に裏切られた。
簡易舗装の、ひとつ間違えば崖に転落する道であった。
対向車が来ないことを祈りつつ走った。幸い、対向車は一台のみであった。

 

七曲のような上り坂を進み、大きくカーブすると急に視界が開けた。
右手に素晴らしい海の眺めが見えた。よく見ると目指す宿らしい建物群がある。
ここからは下りの道であった。

 

 

 

宿の車寄せである。
若い男性スタッフが出てきたので名前を告げると、直ぐ横手の駐車場に案内してくれた。

 

コンクリートでできた長いアプローチを進む。
こういう感覚は理解できない。無駄な導線だと思うのだが。重い荷物を持つ人間のことを考えていない。
玄関で靴を脱ぐ。ここから先は素足である。
畳の向こうはコンシェルジュデスク。ここでチェックアウトを行った。

 

ロビーに案内され、ここでチェックインを済ます。
ウェルカムドリンクとチョコレートが出た。甘い甘いスパークリングワインであった。

 

スタッフの手が空いたところで、部屋に案内された。
潮の棟、1階の 112 号室。玄関やロビーのあるフロアは2階である。
予約時、殆どの部屋が空いていた。
「一番眺めの良い部屋」をリクエストしたら「メゾネットが一番」ということであった。

 

自動ドアである。
この先は、なぐり風の床になっていた。
おそらく機械で成型したものと思うが、素足にはなかなか気持ちが良い。

 

部屋の説明が終わった後、ウエルカムフルーツが届けられた。
ちょっとしたお菓子が置いてあった。

 

リビングルームは堀炬燵仕様である。
残念なことに座椅子が無い。長時間ここにいることは苦痛であった。
ロッキングチェアも座り心地が良いとはいえない。

 

この和室も無用の長物。ここで座っていろというほうが無理な相談。
「見てくれ」を気にするあまり、「居心地」が犠牲になっている。 こういう部屋を造る人間の感性を疑う。
「見てくれ」よりも、「居心地」が大切なのではないだろうか。
強いて言えば、三人目、四人目の寝室用か。

 

押入れの下部の引き出しに浴衣類が収納されてあった。
浴衣は1人1枚だけ。着心地の悪い浴衣であった。
やはりここでも「心地良さ」が無視されている。
もう一方はパジャマ。

 

バルコニーにはデッキチェア三点セットが置いてあった。
ここからの眺めは全然駄目。雑木林しか見えない。
木を切ってくれるとありがたいのだが、それをすると地盤が緩んで危険なのかもしれない。

 

リビングの端には2階への階段があり、階段下にはお茶セット、冷蔵庫などが置かれてある
冷蔵庫内のメネラルウォーターは無料。

 

リビングルームの上部は吹き抜けとなっている。

 

階段から見たリビングルーム。


2階から見たリビングルーム。

 

2階にはベッドルームがある。

 

ベッドルームの隣は洗面脱衣所、それから風呂スペースである。

 

トイレは2か所。
ひとつは部屋の入り口脇、もうひとつはベッドルーム脇。

 

(部屋風呂)

シンクはシングル。タオル類は上質な物が2セット、バスローブもあった。
残念ながらバスローブの着心地は良くなかった。

 

内風呂は沸かし湯。滞在中、一度も使うことはなかった。

ここから部屋露天風呂へ通ずる。

 

この浴槽、大人二人はきつい。
今年の3月から温泉になったそうである。僅かに塩素臭がした。
眺めはまずまずであった。

 

夜の眺めは駄目だが、潮騒や風を楽しむことが出来た。

 

(月見台デッキ)

向こうに見える建物は展望台。
僅かに海を見ることができる。残念ながら当日は月が出ていなかった。

 

 

(大浴場)

ここも3月から温泉が開湯したとの張り紙がしてあった。ほとんど無味無臭であるが、わずかに塩素臭を感じた。お湯は溢れていなかった。
二つの浴場が24時で交代となる。

あまり上質ではないが、タオル類は豊富に用意されてあった。


洗い場が出入り口のすぐ脇にあるため、浴室を出る際に洗っている客の掛け湯がかかってしまった。

 

こちらは翌朝に入ったもの。
昨日のものに比べて、かなり狭い。これほどまでに大きさの差をつけたのは、なぜなのか?



 

大浴場の横には、湯上りラウンジがある。
マッサージチェアは、なかなかの使い心地であった。

 

部屋へ戻ってバルコニーでビールを飲んだ。
月見台デッキで飲めばよかったと後から気がついた。
お奨めの地ビールのようであるが、期待はずれの味であった。

 

(夕食)

ロビー横のダイニング「嵐」で食べる。
調理の匂いが、この階広く充満していたのはどうなのだろうか?
食欲をそそると思うか?  匂いでなく臭いが気になると思うか?
この日は、生姜の匂いが充満していた。
オープンキッチンであり、ダイニングの外からでも料理場の様子を早くから伺うことができる。

 

この高い天井の上が、展望台であった。
眺めの良い席は限られており、残念ながら我々の席は雑木林が見えるのみであった。
正面の衝立の向こう側はボックス席となっている。

 

頼んだ酒は「宮の雪・大吟醸」。三重県の酒である。
かなり甘口で、後から頼んだ「久保田・千寿」のほうが口に合った。

 

 

 

 

 

 

 

「先付」には、がっかりした。その先が不安になった。
しかし、「造り」以後は驚きであった。
とっつきの良い、万人受けする味であると思う。
驚きは、その味付けが最後まで貫き通されていたことである。味のレベルに、ばらつきを感じなかった。これはこれで凄いことだと思う。
「味の深み」・「味の格調高さ」などとは縁の遠い味であるが、満足を感じる客は多いのではないだろうか。
水菓子も、この流れでは「こんなものかな?」という感じ。
肉の質が良くなかったのは、この流れでは仕方がないことか。
配膳のペースが速く、1時間半で終わってしまった。
器には、がっかりすることが多かった。



最後に、夜食を持たせてくれた。 味は普通であった。

 

(バー)

夕食後にはロビーが引き戸で閉められており、21時のオープンを待つばかりになっていた。
部屋でひと風呂浴びてバーに出かけた。
照明はとても暗く、他人の顔もはっきりしない。
バーテンダーは若そうな女性。酒のレベルはごくごく一般的であった。

明るい時間に見るとこんな感じ。
しかしカウンターはバータイムにしか使用されない。
セルフサービスだが、オレンジジュースやグレープフルーツジュースが用意されてあった。部屋の片隅にはコーヒーメーカーもある。

 

(寝具)

シモンズであった。 しかしリネン類の肌触りが悪く、せっかくのシモンズも台無し。
掛け布団は羽毛であったが、安価な羽毛特有の匂いがした。
タオル地のパジャマの着心地は、いまいち。

 

(朝食)

夕食のレベルより落ちるが、そんじょそこらの温泉旅館よりはよほど美味しい。
朝食時もロビー周辺に、調理の匂いが充満していた。

 

 

予定時間に合わせて炊き上げるという伊賀米の御飯であるが意気込みの割には美味しくなかった。

デザートはロビーに移って食べる。
コーヒーメーカーでたてたコーヒー、全部は飲めなかった。

 

(展望台)

ロビー横の階段から上がっていく。 建物の中は、ダイニングである。

 

さらに階段を上がって眺めを楽しむ。
遠州灘〜熊野灘を左から。

 

広々とした海の眺めである。

 

向こうの突き出た陸地は鎧崎灯台から鎧崎であろうか。

 

左下の建物は我々が宿泊している部屋である。月見台がよく見える。
突き出した屋根の下が、部屋露天風呂。

 

山肌の削られている所が、通ってきた道路。
最初に載せた宿の全景写真は、道路の左端部分から撮ったもの。

 

(応対)

若いスタッフが多い。皆、よく教育されており、感じの良い応対であった。ホテル仕様の応対を仕込まれているといった感じ。
しかし当日は満室であったためスタッフの仕事量が多く、あたふたとしていた感じが否めなかった。
チェックイン時、「夕食は18時からでよろしいでしょうか?」と聞いてきた事も、効率を考えているなと感じた。

 

(感想)

今流行りのデザイナーズ旅館の典型であろうか。
どうも「居心地」よりも「見栄え」のほうが優先されていると思えてしかたがない。
「素晴らしい宿」とは、見てくれではないと思うのだが。考え違いをしてはいないだろうか。
オープンキッチンも良いが、匂いの管理をもっとしっかりして欲しい。

「海のしょうげつ」と、とてもよく似た雰囲気の宿である。宿泊料が高い分だけ、料理の差となっているか。
ウリモノの眺望も展望台からしか楽しめない。1階の部屋からの眺めは木々によって妨げられていた。
「海のしょうげつ」といい、個性の無い金太郎飴宿である。
最近の「デザイナーズ」・「マーケットリサーチ」・「接客マニュアル」三点セット旅館は食傷気味。
もっと個性を持って欲しい。


  チェックアウト時、高級なキャスター付旅行かばんをゴロゴロと、廊下や畳の上を平気で引っ張っている若い女性を見かけた。神経を疑った。 宿のスタッフは心の中で泣いていたことであろう。

 

 

(帰路)

名古屋に帰ってケーキタイムを取った。

我々夫婦が最近食べたケーキの中、名古屋で一番と思っているケーキである。

 

2009年5月下旬訪問

御宿 The Earth の予約の際参考に