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憧れの旅館・ホテル

亀の井別荘再訪

 

観光客で溢れかえる湯布院の町、小川の橋を渡ると亀の井別荘の敷地であるがパブリックスペースはまだまだ賑わしい。 しかし茅葺きの玄関門をくぐると、そこには静寂が待ち受けていた。

 

 

茅葺き門から本館入口までの通路は砂利が敷き詰められているが、丁寧に掃き清められていて箒の跡もくっきりとしている。この見事な箒の掃き目を眺めていると京都の禅寺の石庭を思いうかべた。このことひとつをとっても「ここは名宿だ」と思える。スタッフに聞くと、朝一番と午後のチェックイン前の二回掃き清めて掃き目をつけるとのことであった。

 

 

本館の玄関を一歩入ると3時少し前にもかかわらず数組の宿泊客でざわついていた。フロント脇のサロンで煎茶と菓子(干し柿)を振る舞われた後、木々に囲まれた通路を通って離れに案内された。

 

 

  

部屋は六番館、亀の井別荘の中で一番奥にある和洋室である。

 

 

十二畳程の和室とリビング付きのベッドルームからなる。リビングには三点セットが置いてある。無駄を省いた、すっきりとした作りである。庭は広いが愛想がない。立派なモミジの木があるのだが、残念ながら紅葉はまだまだであった。そのほかに内風呂とトイレスペースと水屋がある。

  

 

(応対)

部屋係の女性は着物姿で年輩者が多い。玉の湯は作務衣姿の若い女性のスタッフが多く対象的である。つかず離れずの応対であるが、すれ違うスタッフは皆愛想がよい。

 

(大浴場と露天風呂)

男女時間交代制であり、午前一時に交代となる。それぞれ大きな違いはなく素晴らしい大浴場である。

 

 

屋根がガラス張りで開放感に溢れている。半露天の趣である。透明なお湯と浴槽の底石の色とのコントラストが素晴らしい。清潔感にも溢れていて湯量も豊富である。 露天風呂は一方に円形の檜の浴槽があるが、これがまた素晴らしい。

  

  

由布院のお湯は柔らかく湯あたりがしないので出るのが惜しい、また何度でも入りたくなる。いつ行っても誰か彼かがのんびりと楽しんでいた。僅か21室の宿なのに、思うところは皆同じなのかもしれない。とにかくここの風呂は素晴らしい。
由布院の楽しみは「お湯三昧」である。
脱衣場にはマッサージチェアが備え付けられてあった。また扇風機や椅子もあり湯上がりにひと休みできる。これは大事なことだと思う。火照った身体を落ち着かせることができる心使いは是非必要である。

  

部屋への帰りにフロント脇のサロンで自家製梅酒を味わうことができる。とても美味しい梅酒であった。

 

(夕食)

基本的には田舎料理である。
素材には充分気を使い丁寧に料理してある。野菜は相変わらず豊潤な味である。酒肴の胡麻豆腐は歯ごたえ香りとも申し分なく、鯖松前も絶妙な味付けであった。地鶏スープは薄味ながらもこくがあり、とても美味しかった。柚子胡椒を入れると絶品である。しかし穴子や山女魚いしり焼きなどは癖のある味で賛否両論あるのではないだろうか。また新香も糠味噌臭さが田舎風でかなり癖を感じた。デザートはアイスクリームか林檎のコンポートの選択ができるが、アイスクリームはとても美味しかった。

 

  

  

  

  

  

  

全体的に真面目すぎるような夕食であった。もう少し遊びや軽やかさがあっても良いのではなかろうか。

食後に談話室に出かけ雑誌を読みながらセルフサービスのコーヒーを楽しんだ。前回もそうであったが、室温が高すぎるのが難点。歳を取ればちょうど良くなるのだろうか。

  

  


(部屋風呂)

滞在中かけ流しの温泉である。お湯が熱いので湯加減の調節が難しいが、とても気持ちの良い檜作りの部屋風呂であった。

  


(寝具)

前回の和室は煎餅布団だったので、今回はベッドを希望した。セミダブルサイズのマットはとても厚いもので弾力も快適であった。寝心地のとても良いベッドだと思う。惜しむらくはリネン類の肌触りが極普通でであったこと、細番手超長綿のシーツやカバーを使えば満点なのだが。しかし今までの旅館のベッドの中では最高であった。

 

 

 

(朝食)

和食、洋食どちらでも選択できる。両方頼み、相方とシェアした。
ここは和食の方がお勧め。五穀米御飯や焼き魚(甘鯛)、野菜(青菜と生椎茸の胡麻和え、サラダ)などとても美味しかった。

  

  

  

洋食はそれぞれ美味しいのだが、どこかパンチが欠けていて、食べたという満足感が得られなかった。しかし牛乳やヨーグルトは素晴らしかった。

  

 

 

  

  

 

(感想)

亀の井別荘、渋い宿です。虚飾を削り取った宿です。華やかさや奇をてらったところは微塵も感じませんが、押さえるべきツボはきっちりと押さえていると思います。素晴らしい温泉と滋養溢れた料理、湯宿の基本中の基本を追求している宿ではないでしょうか。そこのところを思い違いして訪問すると不満だらけの滞在となってしまう可能性もあるでしょう。
由布院御三家「亀の井別荘」・「玉の湯」・「山荘無量塔」、見事に個性が違います。重複しないよう申し合わせているのではないかと思うほどです。
渋さの亀の井別荘、華やかな玉の湯、夢を売る山荘無量塔。明らかな宿泊料の差も、ちょうどそれに見合ったところなのかもしれません。

11月初め、由布岳や金鱗湖畔の紅葉はまだこれからでしたが、鍵屋や湯の岳庵の周辺は所々色づいていました。

 

 

  

  

玉の湯の見事な庭園まで足を伸ばしてみました。ここも色づいてきていました。

 

 

2005年11月初旬訪問