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憧れの旅館・ホテル

小樽旅亭 蔵群

 

国道5号線をはなれ、朝里川温泉方面への道路をしばらく走ると、右手に黒い色をした背の低い倉庫のような建物の連なりが見えてくる。文字通り「蔵の群」である。 道路の反対側に「逆さクラゲ」があったのは、少しばかり興醒めであった。



駐車場にレンタカーを停めると、若い女性スタッフが出てきて挨拶をした。 例によって、こちらの荷物を持とうとするので、奥方の荷物だけを頼んだ。 余談になるが、私達のあとからやってきた若い男の三人連れが、若い女性スタッフに三人分の荷物を持たせ、手ぶらで平気な顔をして入ってきた。

「・・・・・・・」

案内がなければ見つけるのも難しいだろうと思える入口を入ると、そこは狭い通路であり、次のドアをあけるとロビーフロアが広がっていた。狭い通路は厳寒地特有の風除けスペースなのだろう。

  



ロビーで、お薄と落雁をふるまわれ、宿帳を記入。 今度は、若い男性スタッフが部屋まで案内してくれた。 部屋は「多喜二」、メゾネットタイプの和洋室である。

  



一階は、8畳ほどのフローリングの洋室と4畳半余りの琉球畳の和室。洋室から二階への階段があり吹き抜けとなっていた。 階段を上がると、セミダブルサイズのツィンベッドルーム、それに、トイレ、洗面所と、部屋風呂がある。

  


 

一階の洋室には、和室用のテーブルと座布団が四枚置かれているが、座椅子や脇息が無く、ここでテレビを視るのには閉口した。くつろぐ場所には程遠い。 部屋の隅には、民芸風の小さな箪笥、液晶テレビがあり、階段下スペースに金庫、冷蔵庫、ポットが収納されていた。
大きなガラスの向こうに和風の庭が広がっていたが、庭に出るための履物は無かった。
液晶テレビは持ち運び自由で、各部屋にコンセントとジャックが設置されてあった。 これは良い考えだ。大半の時間、ベッドルームに持ち込んで視ていた。 和室には、布団の収納スペースやクローゼットがあり、多人数の寝室や着替え部屋となるのだろう。

 

(応対)

スタッフは総じて若く、丁寧な応対である。しかし皆、同じ所作であり、きっとマニュアルどおりなのであろう。 外国人留学生のアルバイトスタッフも何人か見受けられた。

 

(夕食)

18時か19時開始の選択、食事会場で食べる。
部屋数と同じ19の個室が厨房を取り巻くように作られている。プライバシーはかなり保たれており、大声でない限り隣室の声は聞こえない。 案内された部屋は、テーブルと椅子仕様であった。

 

 

お献立

  

  

  

  

  

懐石料理ではなく「和風創作料理」といったところか。 食材は「○○産」と、うたってはいるものの、特別な味は感じられない。 ごく普通の食材を出来るだけ見栄えを良く調理することに心血を注いでいるといった感あり。
食器類も色鮮やかな物を使っているが、お椀は合成樹脂製であった。

「味より見栄え」

品数は多いが、一品の分量は少ないため、食べきれないということはなかった。 食後のコーヒーは「クラルテ」に場所を移して飲んだ。館内は、フリードリンクとなっている。

 

(大浴場)

御影石造りの浴槽、半露天のやはり石造りの浴槽からなる。湯量の豊富さは感じなかった。 洗い場は4カ所しかなく、タオル類は安っぽい。

  



満室なのに食事前、朝風呂の二度の入浴で、一人の客に出会っただけであった。相方の話でも、婦人風呂にも客は少なかったようである。大浴場を出た所に、休憩スペースが設けられていて、お水のサービスがある。 そこの一角に、フレグランスコーナーも設けられてあり、男女合わせて20種類ほどの香水が並べられていた。女性にとっては楽しいサービスといえよう。

  

 

(部屋風呂)

なかなか立派な作りであり、客室の中の目玉商品とも言えるものであった。 窓からの眺めはルーバー風の目隠しに遮られて期待はずれであったが、浴室内は新しいせいか清潔であり、ゆったりとしている。
石造りの浴槽は、大人二人がゆっくり足を伸ばして入れる広さである。 タオル類は大浴場のものと明らかに違い、新しくて上質であった。 大浴場よりも部屋風呂で楽しむ客の方が多いかもしれない。


 

(寝具)

ベッドのマットであるが、二つのベッドで寝心地が違っていた。 一つは、やや硬めで、スプリングの跳ね返りが他へ拡がらない性能の良いものであったが、もう一つは不満を感じる代物であった。 リネン類の肌触りは良くない。掛け布団は、ダウンというよりフェザー。
部屋着に作務衣が用意されているが、寝巻として男性はパジャマ、女性はネグリジェが別に用意されていた。 作務衣、裾の乱れの気になる女性客には良いかもしれない。 しかし作務衣のスタッフの宿が増えている昨今、すれ違う時など、宿のスタッフに見まがうことしばしばであった。 ここ蔵群では、スタッフの制服を「洋装にベレー帽」の出で立ちにしているので間違うことはないのだが。

 

(朝食)

食事会場は掘り炬燵の部屋であった。 8時から9時30分まで、30分おきの選択。

九つに仕切った大きめのトレイに、種々のおかずが盛りつけられて出てくる。 その他、茶碗蒸し、韓国海苔、味噌汁(夕食時と同じ北海道独特の薄味白味噌仕立て)。 作り置きのものを、盛りつけてあるだけと感じてしまう。
名旅館の「幸せ一杯の朝食」からは程遠い。

 

(感想)

建物のパブリックスペースのインテリアは、素晴らしいの一言です。まさに 「和モダン」、現代的センスに溢れていました。流行の言葉を使えば、パブリックスペースは 「サプライズ」の連続でした。

  

しかし、客室の内部は一見「ほう〜」と思うものの、よくよく見ればアラが目立ちます。 一見古ぼけていて何の変哲も無いように見えても、よくよく見ると、「すご〜い」と感ずる他の「名旅館」とは対極の存在に思えます。
コスト意識を強く感じました。 切りつめる部分はとことん無駄を省く。 サプライズを与えうる部分に金を使う。 金をかけずに出来るサービスを考えていく。 そういう目で観察していると、どの客層をターゲットにしているのか、次第に見えてくる気がします。 今流行の、数あるデザイナーズ旅館、どのようなコンセプトで客をもてなしているのでしょうか、新たな興味が湧いてきた滞在でした。

2004年7月末訪問

小樽旅亭 蔵群 の予約の際の参考に