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憧れの旅館・ホテル

美山荘

 

車で行くことも考えたが、道路マップに 「狭い山道が続く。ガードレールのない場所もある」 との記載があり梅雨時のお天気事情も芳しくないため、地下鉄北大路駅からタクシーで行くことにした。 眺めの良い賀茂川沿いをしばらく走ると道路は次第に狭くなる。鞍馬寺のあたりは、すれ違うのも困難な道幅になった。京都の道路は本当に狭い。 花脊峠は文字通り難所である。杉林に囲まれた 「つづら折り」 「七曲がり」 所々にガードレールのない場所があり、道幅も狭く、慣れていない運転者にとっては難儀な場所である。 峠を下ったあたりは、まさに 「里」 といった雰囲気であった。 洛北の里は、どこか独特の雰囲気がある。歴史の世界にタイムスリップした感である。 さらに進むと、家並みはまばらになった。 北大路から、およそ50分程で美山荘に着いた。

  

太刀掛け姿の若い女性が部屋へ案内してくれ、自家製あけび茶、自家製蓬餅、お薄をふるまってくれた。 部屋は、母屋と反対側の離れ棟の一番奥にある 「石楠花」。

  

3畳ほどの踏み込み、床の間付き8畳の和室、なぐりの広縁 (なぐりの床が素足に心地よい)、洗面所にトイレである。

  

広縁の向こうには広い月見台があり渓流に向かってせり出している。月見台の左側にはモミジ、右側には八重桜の大木が枝を広げていた。 月見台には円座が二つ。

  

円座にすわると、目前の渓流のせせらぎの音、鳥の鳴き声、木々の緑、「ここまで来た甲斐があった」 と心から思った。

  

テレビは無く、携帯電話も圏外である。俗世間とは無縁の世界に来てしまった。

 

《応対》

上品な若女将、さらに上品を絵に描いたような物腰の柔らかい大女将、それから、良く躾けられた数人の若い女性達。本当に丁寧な応対である。若い女性スタッフ達は、実にかいがいしく世話をしてくれた。 大女将は自ら野草を摘んで花を活ける。

  

 

《風呂》

離れ棟の横に浴室棟がある。浴室は大小二つ。

大は脱衣場、浴室ともかなり広く、10人くらいは一度に入れるかという立派な代物。洗い場のシャワー設備も5〜6カ所あった。木の浴槽の脇に、はめ殺しのガラス窓があり、渓流を眺めることが出来る。

  

小は、かなり狭い。浴槽は二人が入れる程度で、脱衣場は二人では窮屈である。こちらの窓ガラスは開閉可能で、開け放しにすれば、せせらぎの音、川風が心地よい。 虫も湯浴みに来るが仕方がない。

  

小さい浴室は、良く磨き込まれた槙の浴槽であり、積み木細工様の石造りの洗い場、檜の腰板、 「俵屋」 の内風呂にそっくりであった。 二つの風呂を四部屋の客で交互に使用する。希望に合わせて、支度が出来ると呼びに来てくれる。 夕食前、就寝前(22時30分まで)、朝風呂と3度入浴することができた。そのつど支度をしてくれた宿のスタッフには感謝感謝。 夕食前の風呂上がり、月見台に座って部屋の冷蔵庫の冷えたビールを飲んだ。至福の時であった。

「このために、ここへ来たんだ・・・・」

しばらくそうしていると、風呂上がりのサービスといって自家製梅酒のオンザロックと Jalux 製ドライ納豆のおつまみを月見台まで持ってきてくれた。美味かった。

 

《夕食》

母屋の部屋で食べる。母屋の玄関には香が焚いてあった。 初めて体験する 「摘草料理」、思っていたほど食材に 「くせ」 はなかった。 先付けの籠盛(田植えの苗籠を模している)に始まり、水菓子まで14品。 お品書きは、その日に摘んできた食材を利用するため書く暇がないとのことで貰うことができなった。 記憶に残っていることを書き記してみる。

  

  

  

  

  

  

 

その他いろいろあったが、これだけの品数をよく調理したものだと感心させられた。ただ全体に濃い味付けであったのは、食材の 「くせ」 を緩和するためなのか。 なかで、??と思ったのが、北海道産のグリーンアスパラとホワイトアスパラ。自家製のマヨネーズで食べるのだが、場違いな雰囲気であった。 北海道産の食材は、丹波地方で自生する草木や栽培する野菜とはまったく違う代物ではないか、と、ふと思ってしまった。

 

《朝食》

離れ棟の空いている部屋で食べた。「いろんな部屋を御覧になって下さい」 ということで用意してくれた、掘り炬燵のある小さな部屋であった。調理場から遠いせいか母屋の時よりなにかと時間がかかった。

  

  

味は、はっきり言って不満である。とにかく味が濃すぎる。朝は爽やかで、さっぱりしたものがよい。

 

《感想》

鄙びた里の古き宿坊であるが、若々しい雰囲気が溢れている。一生懸命さも充分感じ、応対は素晴らしい。今後の発展も充分期待できる宿だと思う。 しかし問題点もいくつか感じた。

  

排泄と睡眠は大事なことだと思う。この二つをないがしろにすると印象を悪くする。 早急に改善して欲しいものだ。

夕食後、宿のマイクロバスで数組の宿泊客と一緒に 「蛍見物」 へ連れていってくれた。三カ所のポイントで蛍の乱舞を見ることが出来た。一カ所では運転手 (後から聞いたところでは板長さんだった) が蛍を捕まえ、車の中まで持ってきてくれた。 皆、大喜びであった。

2004年6月中旬訪問

美山荘の予約の際の参考に