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憧れの旅館・ホテル
べにや無可有
「特急しらさぎ」の車内で転寝中であったがアナウンスの声で眼が覚めた。そこは敦賀駅であった。強風のため敦賀駅で立ち往生しているとのこと、そこを発車したのは30分後であった。
しばらくして北陸トンネルの中で再び停車、やはり強風のためとのこと。
北陸トンネルを出ると雨模様であったが、窓の外はさほど強風とは思えなかったが。
南今庄駅でしばらく立ち往生、次の今庄駅でも立ち往生。
反対車線には名古屋行きの「しらさぎ」が立ち往生していた。
各駅停車の如く、駅ごとに立ち往生。
南条駅では大阪行きの「雷鳥」が立ち往生していた。
武生を過ぎたあたりから速度は回復したが、加賀温泉駅に着いたのは予定より1時間45分遅れであった。
駅では、各旅館のお迎えでごったがえしていた。あらゆる列車の到着が大幅に遅れていた。
送迎バスに同乗した大阪からの客は、2時間遅れだと言っていた。
山代温泉街への道から離れ、山の方へ入っていく。狭い山道を走ると宿に着いた。
宿の入り口では数人のスタッフが待ち構えており、それぞれの客をエントランスロビーへ案内した。
ここで宿帳を記入し、お茶をふるまわれる。
我々の後からも多くの客が到着してきた。
手造りの豆菓子とのこと。
口に入れた最初は何も味がしなかったが、噛むほどに味が出てきた。
係りの女性スタッフが紹介され、部屋へ案内してくれた。
部屋は2階の和洋室「蘇枋」。
ここで靴を脱ぐ。
正面に見えるのは部屋風呂である。
右手には10畳の主和室。
小型のブラウン管テレビが置かれてあり、部屋の奥にはウォークインクローゼットがあった。
ズボンプレッサーもあった。
窓際には竹敷の広縁があったが、
足ざわりは思ったほど良くなかった。「なぐり」の感触には到底敵わない。
火鉢に火は入っていなかった。
窓からの眺めは雑木林であり、良い眺めとは言い難い。
入り口から左手には、水周りとベッドルームがある。
ベッドルームはセミダブルのツイン。
テレビが置いてなかったのは残念であった。
(部屋風呂)
半露天の桧造り風呂である。掛け流しの温泉だと言っていた。
大人二人がゆっくりと入ることのできる大きさであった。湯量・湯温とも自動で調節されていた。
眺めは良くない。目の前の建物は宿の別棟であるが、構造上窓が無く、プライバシーは保たれていたと思う。
洗面所はシングルシンク。客が二人では使い勝手が悪い。
アメニティーはモルトンブラウンで統一されていた。匂いが強すぎるきらいがある。
洗面脱衣所と浴室の間にシャワー室があったが、使うことはなかった。
(大浴場)
内風呂は湯気がもうもうとしていて写真を撮るどころではなかった。
屋根付きの半露天風呂。
眺めは楽しめないが、気持ちの良い風呂であった。
夜、朝と二度入った。
風呂上りに冷水が用意されてあった。
(夕食)
冬の特別会席を選んだ。
まず最初に生きた蟹を見せにきた。
食前酒は手取川。食中酒は福正宗大吟醸。
手取川のほうが美味しく感じた。
「このわた」は相方が苦手なので、鮑に換えてくれた。
ずわい蟹の美味しさはもちろんであるが、全体的になかなか美味しい料理だったと思う。
能登寒鰤と辛味大根の相性は抜群であった。
炊き合せも上品な味付け。
しかし椀物の出汁に深みが足りなかったことと、能登寒鰤の山椒焼がくどく腹が膨らんでしまったことが残念であった。
寒鰤のくどさが(山椒の実がくどさを和らげてはいたが)蟹の美味しさの余韻を台無しにしてしまった。寒鰤を抜いて炊き合せに進んだほうが「美味しい蟹を食べた幸せ感」を持続できたと思う。
合鴨つみれ鍋は葱がとても美味しく、合鴨の出汁も良く出ていた。
白ごはんは後から食べるようにオニギリにしてくれた。
夜食用に置いてあった。少しばかり酸っぱかった。
(寝具)
弾力があちこちに波及するもので、寝心地が良いとは言えない。
リネン類も普通。
枕の選択が可能なのでテンピュールを頼んだが、硬くて良くなかった。
普段テンピュールを使っているのだが、いろいろあるものだ。 結局、羽根枕を使った。
浴衣が二枚用意されていた。
(朝食)
グレープフルーツジュースと牛乳。なかなか美味しかった。
味噌汁は、香箱蟹の出汁。
全体的にとても食べやすい朝食であった。このような朝食はとても好感が持てる。
(パブリックスペース)
バー&カフェ
夕食後、コーヒーを飲んだ。
図書室
面白いデザインの部屋であった。
ショップ
アロマオイル類や食器が充実していた。
パソコンが置いてあり、無料でインターネットを楽しむことができる。
ラウンジからの眺め。
2階の濃い窓枠の部屋が「若紫」。その向こうに「中縹」・「蘇枋」と続く。
(円庭)
不思議な部屋である。水滴の動きに引き付けられてしまう。
(方林)
朝はヨガを開いていた。
相方は喜んで参加した。私は朝風呂。
夜は蝋燭が灯される。
円座に座ると、無心に瞑想できるような気がしてきた。不思議な空間であった。
(応対)
部屋係の女性が、自分のペースでことを運ぼうとするきらいがあった。こちらもその流れに乗っていたが、客によっては不満に思うこともあるかもしれない。
フロントのスタッフや擦れ違うスタッフは皆、感じが良かった。
(感想)
館内のデザインや色使い、食器などの選び方は女性好みかもしれない。ハーブ系の香りの管理も女性好み。私よりも相方のほうが気に入っていた。
全体的には居心地の良い宿といえると思うが、宿泊料の割には細かなところで不満が残った。
2009年1月末 訪問