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憧れの旅館・ホテル
翠松園
快晴の東名高速を快適に走り国道138号線の渋滞も無く、機嫌よく運転しているとナビが138号線から強羅方面へ右折しろと叫ぶ。宮ノ下で1号線に合流するイメージを抱いていたのであるが、ナビにしぶしぶ従うとあの嫌いな急坂を登った所で強羅方面と反対側を指示した。仕方なくその道にはいると突然道幅が狭くなった。引き返すわけにもいかず、車を走らせていると広い道へ出た。ほっとする間もなく小涌谷。ショートカットの道であったようだ。
半水盧の太鼓塀を彷彿させる土塀が翠松園の入り口であった。
車寄せに停めると男性スタッフが車を預かり、女性スタッフが案内してくれた。
玄関を入ると小さなコンシェルジュデスクとこじんまりしたロビーがあるが、チェックインは部屋で行うとのこと、素通りして部屋へ向かった。
フロントロビーから見た宿泊棟であるが、かなり下ったところにある。
フロントロビーが2階。エレベーターを使いB1で降りる。
目ざす建物は4塔あるうちの「杉の塔」であり、部屋は2階の「章(あや)」。 ウエルカムのお茶やお菓子はなかった。
センスが良いとは思えない外観、マンションの階段や玄関と見紛う造り。
「竹の塔」
「紅の塔」
玄関を入ってからの廊下も、まさにマンションのそれ。
玄関から正面に見えるは、桧の浴槽。左手がバスルーム、右手がリビングである。
部屋のスリッパはデパートでよく見るやつである。私も家で一時期使ったこともある。
これは使い捨てとも思えない。他人も素足で履いているかと思うと、あまり良い気がしない。
やはり使い捨ての物か、ウォッシャブルの物にして欲しいものだ。
部屋は、リビングとベッドルーム一体である。
ホテルの部屋と同じであるが、内装はマンションのモデルルーム。
ソファーも座り心地は極普通。
テレビは大型の液晶。
ベッド周りは、雰囲気良くデザインされている。
窓からの眺めは、正真正銘の杉林。通路も無く、プライバシーはしっかり保たれそうだ。
ネスプレッソマシーンが置かれてあり、冷蔵庫の中はすべて無料。りんごジュースは美味しかった。
マリアージュ・フレールのティーバッグも置いてあった。オレンジペコとアールグレイ。
バスルームは豪華仕様。
大理石張り仕上げの壁が豪華な雰囲気に見せている。ダブルシンクである。
ジャグジーのバスタブとシャワースペース。
半露天風の総桧の浴槽、掛け流しの温泉だそうである。
大人二人がゆったりと入ることができる大きさであった。
テレビも備え付けてあり杉林も眺めることができ、桧の香りと共に、とても気持ち良い風呂であった。
反対側の隅には、耐水性のチェアが置いてある。
ジャグジーバスは一度も使うことがなかった。
バスアメニティグッズは充実している。
「コレス」というメーカーのシャンプー、コンディショナー、シャワージェル、ボデイバター、ミルクフェイスソープ。
男性用も国産ながら、トニック、リキッド、アフターシェーブローションのセットがあった。
驚くことにsisleyのセットが置いてあった。プレゼントとのこと、相方は大喜びで。
(大浴場)
本館のB2にあるが、小振りの脱衣洗面所である。
露天風呂ともども、「取り敢えず造っておこう」とでも考えたか・・・
浴室の一角にサウナが併設されていた。
僅かに硫黄の匂いがするものの、特徴の無い面白みの無い大浴場であった。お湯も溢れていない。
部屋の半露天風呂に浸かっている方が余程良い。
(夕食 )
宿泊棟に囲まれるようにして、食事処「翠松園」がある。
由緒ある建物を改築したそうであるが、ダイニングの「紅葉」とバーの「伊都」からなる。
建物への通路は、調理場のすぐ横を通る。
オープンキッチンのように、中で働く調理人の姿が良く見える。向こうからも良く見えるようで、眼が合うと皆が挨拶してくれた。
庭側から見ると、建物の右端がバーである。
食前酒ではなく、食前茶。紫蘇茶とのこと。
酒は、「田酒」大吟醸と黒龍の大吟醸「九頭竜」を頼んだ。
「田酒」は飲みやすかったが、「九頭竜」は辛口で少しばかり酒臭かった。
献立がないので記憶を辿って書く。
先付け: 筍・柔か鮑・ぜんまい、木の芽味噌
才巻き海老・帆立・茗荷・胡瓜、土佐酢ジュレ
椀物 : 葛打ちアイナメ・蓬団子・人参
造里 : 鮪・鯛・烏賊、出汁醤油ゼリー仕立、山葵
鰹たたき、にんにく風味
八寸 : イサキ南部焼き・独活蕗味噌・赤蒟蒻・丸十・八幡巻・蛸柔か煮 粽の中身はキスの押し寿司
進肴 : 姫筍・サザエ・人参・胡瓜、粒マスタード酢味噌
止椀 : 油揚赤だし
香の物
御飯 : 桜海老・蕗、炊き込み御飯
水物 : 酒粕アイスクリーム・グレープフルーツゼリー
全体的に味付けのはっきりした料理だと思う。
薄味でまったり、しみじみ味わう京風料理とはまったく異なった味付け。これを関東風というのだろうか?
京風料理が大好きな私の、極めて個人的な好みに基づく意見であるが。
椀物は鰹出汁が勝っているが、深みやキレを感じなかった。はっきりいって不満。
造里は、普通に醤油と山葵が良い。料理人が吟味した薄口の醤油と新鮮な山葵が最高と思う。今回の山葵、白っぽかった。
焚き合せは味が濃すぎて不満。
水物もごてごてと凝り過ぎている。
しかしこの味付け、評価する客はかなり多いのではないだろうか。
言い換えれば、より多くの宿泊者から評価される味を追及しているのでは、とも感じる。
香の物は浅漬でとても美味しかった。
桜海老の炊き込み御飯も美味しかった。
(バー)
酒飲みの心を良く知ったバーテンダーであった。
若かりし頃の行きつけのバーを思い出した。楽しい語らいであった。
(寝具 )
マットの弾力が好みではない。シーリーであった。
リネン類の肌触りもあまり良くなく、幸せな寝心地とは言い難い。
浴衣の他に、パジャマが用意されていた。
パジャマのサイズが合わなかった。二つともMサイズ。
夜遅くであり、酔っ払っていたのと部屋が暑いくらいだったので、使わずに寝た。
(朝食 )
「紅葉」で食べるが、昨夜とは違った部屋。
角部屋で二面採光なので、とても気持ちが良い。
窓を開けると、風が爽やかであった。 庭の向こうには、ラグジュアリータイプの「松の塔」が見える。
和と洋、和を選んだ。御飯とお粥の選択は、お粥。
人参・林檎・オレンジ・バニラビーンズのジュースから始まる。ハーブの香りの強い味であった。
自家製豆腐・湯葉、豆乳煮。味がなく塩をかなり必要とした。
焼き魚は、時鮭・金目鯛。金目鯛は美味しかった。
出汁巻きは味が無かった。大根おろしも水気が無かったし肌理が粗かった。お粥は美味しかった。
コーヒーは少しさめていた。
(応対)
旅館というよりホテルの応対。スタッフ皆、しっかり教育されている。
食事の配膳がレディファーストであった。旅館の意識でいた最初の頃は戸惑ってしまった。
(感想)
最近のトレンドは「部屋風呂」・「ベッド」・「女性が喜ぶアメニティグッズ」・我家には関係ないが「スパ」、そして「そこそこの料理」。
女性をターゲットにしていると感じる。
まさに地で行く宿、「マーケットリサーチに従った宿」だと思う。
私にとっては「心の洗濯のできる宿」ではなかった。
2008年4月末訪問