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憧れの旅館・ホテル

修善寺温泉、柳生の庄

 

伊豆の道路の渋滞に辟易し、今回は公共輸送機関を使うことにした。 新幹線三島駅で伊豆箱根鉄道に乗り換え、線路沿いの風景を楽しみながら、のんびりと修善寺に向かった。修善寺駅からタクシーで 10 分余り、温泉街を抜けたあたりに名旅館「柳生の庄」があった。

部屋は本館1階の「月影」。和室が二間、主和室から一段下がって4人がけの応接セットのある広縁、池に面して月見台とも言える濡れ縁、露天付の内風呂がある。部屋の玄関と和室の間には廊下ともいえるスペースがありオープンスペースの騒音はまったく聞こえない。小さいほうの和室には中庭がついている。主和室から見える庭はなかなか素晴らしい。鯉の泳ぐ池があり、池の向こう岸には大きめの灯篭がある。これがまた風情があるのである。月見台に出てもよし、広縁のソファーから眺めてもよしの庭であった。

  

 

(応対)

玄関先では数人の男衆が出迎えてくれるが、皆にこやかでとても親切である。慇懃無礼さは微塵も感じない。仲居さんは中年の女性であるが、優しく上品で控え目であった。さすが名旅館、文句のつけようがない。 名旅館に共通するのは「すれていない」「おしつけがましくない」「つぼはきっちりと押さえている」というところであろうか。黒子に徹しながらも、痒いところに手が届くような気使いをしてくれている。

 

(大浴場)

特に特徴のない大浴場である。一方、露天風呂は岩風呂、広々としていて開放感がある。温泉が川の上流から流れ落ちてくるような作りは楽しめた。屋根がまったくないため雨の日は苦労するかもしれない。脱衣場はあまり広くなく、化粧台以外に椅子がない。数少ない化粧台の椅子で、のんびり休むこともできないであろう。湯上りの火照った身体を落ち着かすことができない。他の客に老人が多かったが、あぶついた心臓を休ませてあげるような心使いがあってもよいのではないか。湯上りに一服したいものである。

 

(内風呂)

檜作りの浴槽とその外にある1坪程の岩の露天風呂。これは素晴らしかった。「浴槽は木にかぎる」言いすぎであろうか。槇や檜の風呂は大好きである。我が家の風呂もいつの日か木の浴槽に替えたいものだ。 露天風呂を覆う木立の間から庭の大灯篭の灯りが見え、なんとも素晴らしい。時折鯉が跳ねる音が聞こえ、これがまた楽しい。大浴場より余程風情があり、これはお奨めである。妻も大喜びしていた。

 

(夕食)

会席料理である。どちらかといえば吉兆風で、だし味はやや濃い目。先付けから始まり、器・飾りつけ・味とも、まずまず満足のいくものであった。ただ、果物はいただけない。メロンも、ついていれば良いというものではない。果物も味の違いがはっきりするのである。画竜点睛を欠く。

  

 

(寝具)

敷き布団はウレタン系マットの2枚敷きに薄手のパッド。厚さは10センチ程であろうか、背中に畳の硬さを感じるが寝苦しいというほどではなかった。可もなし不可もなし。

 

(朝食)

なかなか豪華な朝食であった。カレイの干物、茶碗蒸し(豆腐・穴子・わさび)、シャーベットは上品な味付けで、ことのほか美味しかった。評判の味噌汁は薄味すぎて他の味から浮いていた。味の濃いものは「くどさ」を感じさせず、薄いものは「余韻」を感じさせてほしいものである。漬物は味がない。

 

(感想)

私の数少ない経験で物言うのは甚だ恐縮ですが、正統派日本旅館の代表格といってもよいのではないでしょうか。高級旅館の基準といえると思います。各項目でここ以上のものを提供してくれる宿はありますが、すべてに高いレベルを維持しており、隙がありません。素晴らしい宿だと思います。 部屋に、主婦の友社が外国人向けに出した、「 RYOKAN、 The Japanese Inn  」という雑誌が置いてありました。俵屋・柊家・三養荘・海石榴など錚々たる名旅館を紹介した素晴らしい写真集ですが、なんとその表紙を飾っているのが 「月影の間」 なのです。

 

2003年11月下旬訪問

柳生の庄の予約の際の参考に