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憧れの旅館・ホテル
あさば 山吹
富士山にはまだ雪は無かった。
のどかな中伊豆の風景。
このあたりの風景を見ると、以前は心が浮き立ったものだが。
今回は、なぜか浮き立つものがない。
2年振りの訪れのためなのか、それとも電話係の女性との諍いのためなのか。
今回の部屋は「山吹」。
2か月前の予約解禁日の昼前、電話をかけた時に空いていた部屋風呂付は「山吹」と「鉄仙」のみであった。相変わらずの人気である。
「山吹」は植え替えた枝垂れ桜が満開の時期に行きたいと考えていたのだが、風呂を新しくしたとのこと、それで決めた。
左手の入り口が「山吹」、右手は前々回に泊った「撫子」。
左手が風呂場、右手が和室への入り口である。
6畳ほどの副和室。
隅にあるのは乱れ箱。浴衣や羽織が入っている。
主和室は二面採光で、とても明るい。
主和室と、向こうは副和室。
小型の薄型テレビ。
一段下がった広縁。
床の間の柱と広縁は、この真下にある「藤」に良く似ている。
広縁の壁際には冷蔵庫。
冷蔵庫の中身。
上の段のジュースはストレート果汁で、とても美味しかった。
主和室の窓からの眺め。
向こう正面は「松風」、あいだにある左手の部屋は「満天星」。
手前の屋根の下は、野天風呂。
広縁からの眺め。
真ん中やや左に紅枝垂れ桜の木、ずいぶん成長している。
エントランスの向こう側はトイレ。
とてもキレイである。
右手に見えるのは部屋風呂。
洗面所。
タオルが豊富に置いてある。
女性心をくすぐるアメニティ。
以前にはなかったものだ。
木の香も新しい浴槽。
この宿は、本当に清潔である。
入浴目線。
とても気持ちが良い。
(大浴場)
手入れが素晴らしい。
本当に気持ちの良い風呂である。
(野天風呂)
時間制で男女が交代する。
17 : 30〜22 : 30が女性の時間。
いつも相方が「星空が素晴らしい」と言うので、22 : 30になるのを待って入浴した。
夜の脱衣場。
野天風呂に浸かり、夜空を見上げると。
写真の写りが悪い。
写真を補正してみた。
(貸切風呂)
今回初めて使用した。
清掃が素晴らしいのか、とても気持ちが良い。
2か所のうち、こちらの方が使われていることが多い。
こちらは写真だけ。
(サロン)
入浴後のお決まりのコース。
ジュースやコーヒー紅茶など、飲み物の無料サービスがあるが。
お目当ては、有料のシャンパン。
ヴーヴ・クリコはピッコロボトルがある。
今回も、暮れゆく様を楽しんだ。
(夕食)
食前酒は「萬燿」、修善寺の地酒。
華やかな味であった。
頼んだお酒は「鄙願」。
最近は、穴子の黒米寿しと揚げ物を断っている。
それらを食べると、最後が持たない。
塩加減抜群の銀杏。
薄味で品が良い。
心の安らぐ味である。
左上から時計回りに、「ハタの昆布締め」・「くらげ・胡瓜・椎茸の胡麻酢和え」・「栗きんとん」・「無花果」・「子持ち鮎」、真ん中は「穴子真丈」・「才巻き海老」 。
どれも優しい味で、とても美味しい。
沢煮椀
これも優しくまったりする椀物。
薄味ながら、食材から出る出汁はしっかりとしている。
鮪・烏賊・ハタ
新鮮さ、甘さ、申し分のない造り。
鰆の炭火焼
ここで焼くのではなく、焼き上がったものをそのまま持ってくる。
ここの鰆はいつも分厚い。
脂の乗りも素晴らしく、皮の部分が格別美味しい。
蕪のあちゃら漬け
菊菜の香りが強すぎて、松茸の香りが負けていたのが残念。
すだち醤油は飲み干した。
本来は唐揚げなのだろうが、酒蒸しに替えてくれた。
蒸鮑も満足。
ここまでなんとか余力を残した。
白葱は充分甘く、軍鶏のつみれの脂も素晴らしい。
玉丼は軍鶏鍋の汁が煮詰まっているため、ややからい。
デザートはもちろんブラマンジェ。
アイスクリームは「しょうが」と「焼き茄子」。
焼き茄子の発想がでるのが驚き。
確かに焼き茄子の香りである。
「あさば」の夕食は、私が経験した宿の中では文句なしの一番だと思う。
選び抜かれた食材を、素材の味を生かしながら丁寧に料理してある。
素材の味をいかした薄味、関東の客には物足りないのではないだろうか。薄味好みの料理である。
季節の定番ばかりで変化に乏しいとの声もあるが、それが逆に、ひと品ひと品を完成の域に押し上げたのだと思う。
(寝具)
「俵屋」・「半水盧」・「あさば」、蒲団のビッグスリー。
相変わらず素晴らしい寝心地。
ワッフル地のパジャマの着心地も良い。
お茶のセットも用意されてある。
(朝食)
定番の椎茸、放射能が僅かに検出されたために今年は使うのを断念したとのこと。
代わりに自家製の飛龍頭。
いかにも自家製といった、やさしい味。
焼き魚は「ごそ」。
キンメダイ系の深海魚とのこと。
なかなか美味しい魚である。
定番の出汁巻き。
茄子の煮物。
素晴らしく美味しい味であった。
柿の甘さも抜群。
選び抜かれた果物だと思う。
甘さ控えめで上品な味の、おしるこ。
サロンに移ってコーヒー。
これも美味しい。
やはり素晴らしい宿であった。どこもかしこも清潔感溢れ、手抜きがない。
「俵屋」と並んで日本の宿の双壁との思いを再認識した。
しかし「俵屋」にあって「あさば」に無いもの、それは「抜群のホスピタリティ」だと思う。
大女将が表舞台から身を引いてから温かみが少しばかり減ったように感じるのは思い過ごしであろうか。
和のお宿からホテルテイストになっているような気がする。
平成23年10月下旬訪問